海外在住者にとって、急遽日本に帰国しなければいけなくなった場合の対応は常に頭の痛い問題ですよね。
特にペットがいる場合。大事な家族ですから現地で人に預けることはできれば避けたい。一緒に連れて帰ってあげたいですよね。
実は私も今、アメリカから日本への猫の輸入検疫のプロセスの真っただ中にいます。
飼い主にはもちろん時間的にも金銭的にも大変な工程ですが、ペットの体への負担ができるだけ少ないように計画できればと思っています。
この記事では輸入検疫の注意点や日数の流れ、必要書類について私の体験談を交えて説明していきます!
アメリカから日本に犬猫を連れて帰る輸入検疫手順

滞在国によって、また動物の種類によって手続きが違いますので、必ず輸入先・輸出元の両国の農林水産省の動物検疫所のウェブサイトで確認することが必要です。
アメリカから日本への輸入であれば、日本農林水産省の動物検疫所と米国U.S. Department of Agriculture Animal and Plant Health Inspection Service のウェブサイトを確認。
ここでは犬猫を米国から日本へ入国させる場合について解説します。
大まかな輸入手続きは下記のようになっています。順を追って説明しますね。

マイクロチップ装着と2回の狂犬病予防接種→採血抗体検査

まず最初の工程はマイクロチップを埋め込むことです。これは大体の飼い主さんは既に完了していることかと思います。
うちの猫は9歳になりますが、実はマイクロチップを装着していませんでした💦
よって1回目の狂犬病の予防接種と同時にマイクロチップを装着することになったのですが、日本(輸入先)の推奨するマイクロチップを入れたほうが後々問題が少ないのでこれはこれで良かったと思っています。
日本の検疫所で推奨されているマイクロチップはISO規格11784か11785になります。
また1回目の狂犬病予防接種は生後91日以降(生まれた日を0日とする)に接種されていなければなりません。
生まれたての仔猫・仔犬は輸入できないんですね。
2回目の狂犬病予防接種は1回目の接種から30日以上(接種日を0日とする)の間隔をあければよいので、ウチの子の場合は3ヶ月あけて打ちました。
2回目の接種後は家に帰ってぐったりしていましたね・・実はコロナが始まるまで日本帰国は考えていなかったので、マイクロチップ装着と1回目の予防接種の前に1回狂犬病予防接種を打ってしまっていたんです。。
予測不能だったとはいえ、約半年間の間に3回も狂犬病の予防接種を打たれたらそりゃぐったりしますよね😢ごめんよ
皆さん、これは悪い例ですので。緊急の場合は除いて、できるだけペットに負担の少ないよう計画してあげてください。
狂犬病予防接種(ワクチン)の種類についても日本の検疫所で指定されたものを打つ必要があります。2021年3月時点では不活性化ワクチン(inactivated / killed virus) か組み換え型ワクチン(recombinant vaccine) の2種類となっています。
規格外のマイクロチップを装着している場合は到着予定空港を管轄する動物検疫所に相談しよう!また、マイクロチップ装着前に1回目の狂犬病予防接種を接種してしまった場合も条件付きで認められる場合もあるよ。上記の手引書を参照しよう!
輸出前180日間待機→渡航日が決まったら事前届け出

2回目の狂犬病予防接種後に採血を行い(同日でもOK)抗体検査の結果レポートが指定検査施設から届くまで待ちます。
ウチの子の場合は1ヶ月から2ヶ月程度で結果が届き、獣医さんから取りにくるよう連絡がありました。
また2回目の接種の日から180日間の待期期間が始まります。
180日間の待期期間を満たさずに入国しようとすると、すべて飼い主の負担で所定の係留施設に留め置かれる(係留検査を受ける)または返送・致死処分になりますので要注意!
180日に満たない分の日数を係留施設で過ごさなければならないと言われています。考えただけでも可哀想😿
渡航日が決まったら到着日の40日前までに「届出書」に記入したものを到着予定の空港を管轄する検疫所にFAXかメールで送付する必要があります。→書類ダウンロード
またはNACCS というシステムを使ってインターネットで届け出もできます。→こちらから
ちなみにウチの子はマイクロチップ、2回の予防接種と抗体検査を終えて180日間の待期期間を満たしたところ。
気になる費用は現時点で合計5万円ほどかかりました。抗体検査+結果レポートが3万円以上したと思います。
届出書にはマイクロチップの埋め込み日や狂犬病ワクチンの種類、ワクチンの有効期限など記入する必要がありますので、獣医さんから出された全ての書類を保管するようにしましょう。
渡航直前に輸出前検査を受けて証明書を発行してもらおう

渡航直前(出国日前10日以内)に検査をして狂犬病・レプトスピラ症にかかっていないことを証明する書類を発行してもらう必要があります。この時、民間獣医で大丈夫ですのでInternational Health Certificate(海外渡航用健康診断証明書)に関するサービスを提供しているかどうか確認してから診察してもらう必要があります。
輸入先が日本の場合は、動物検疫所が推奨するForm ACがこの証明書に当たります。 (ダウンロード→import-other-3.pdf (maff.go.jp))
このForm ACに民間獣医が必要事項を記載したものに、輸出国の政府機関のEndorsement(裏書証明)を取得する必要があります。
米国ですと各州にあるVeterinary Services Endorsement Officesがその政府機関に当たります。各拠点によってEndorsement の取得方法が異なる(オンライン・郵送・実際にオフィスへ出向く)ので事前に獣医さんとしっかり相談しましょう。
日本到着→検疫所での輸入検査

日本に到着後はいよいよ輸入検査です。以下に必要書類をまとめます。
- 狂犬病抗体検査の結果レポート
- 輸出前検査の証明書
- 貨物輸送のみ:輸入検査申請書(NACCS利用可)、航空運送状(Air Way Bill)または船荷証券(Bill of Landing)
- 輸入検査申請書 (犬用→applicationim-dog.pdf (maff.go.jp) 猫用→applicationim-cat.pdf (maff.go.jp))
- 委任状(代理人が手続きをする場合のみ)
- その他動物検疫所が必要と判断・要求する書類
犬を輸入できる空港・海は限られているので要確認!身体障碍者が同伴する補助犬の場合はその限りではないので動物検疫所に問い合わせる必要があります。
必要書類が揃っているかどうか不安、また質問等あれば、到着予定空港の動物検疫所にメールで相談しましょう。主要な空海港を管轄する動物検疫所一覧
ここまでが輸入検疫の工程の説明となります。
抗体検査結果レポートの有効期限

狂犬病抗体検査の結果レポートは採血日(手順3)から2年間有効です。但し、上の例2に見て分かるように2回目に打った予防接種の有効期間が切れる前に追加接種を打つ必要があります。ワクチンの種類によって有効免疫期間が異なりますので、獣医さんに要確認です。
よってマイクロチップ装着と2回の狂犬病予防接種プラス追加接種さえきちんと打っておけば、急な帰国にも備えることができます。
まとめ
全体の流れはイメージできましたでしょうか?
大体の日数と必要書類を把握してもらえたならこの記事は成功です!
こう見るととても複雑な過程に見えますが、実際はワクチン2回と抗体検査を終えておけば渡航日が決まるまでそれほどやることはないんです。今の私とウチの子がいまココ。でももうそろそろ追加接種を打たなければいけない時期に入ります。
また新しい情報が入り次第アップデートしていきますね!
あなたとあなたのペットが無事に日本へ帰国できますように。